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国際無線通信規格 Wi-SUN FAN1.1の認証を世界で初めて取得

2025年2月20日

 長野日本無線株式会社は、家庭用エネルギー管理などの次世代のスマートメーターに搭載可能な無線機NJT-1104で、Wi-SUN FAN 1.1の認証を取得しました。
 本機は、自律的に無線通信経路を構築しマルチホップ通信することにより、信頼性・広域性に優れた無線通信ネットワークを実現します。次世代スマートメーター、スマートシティ、各種センサーシステムの構築および長距離アプリケーション領域での活用を検討されているお客様に最適です。

 ※3者共通のリリースは こちら

 国立大学法人 京都大学 大学院情報学研究科の原田博司教授の研究グループ(以下 京都大学)と、株式会社日新システムズ(以下 日新システムズ)、長野日本無線株式会社(以下 長野日本無線)が共同開発したIoT(Internet of Things:“モノ”のインターネット) 向け新国際無線通信規格Wi-SUN FAN (Field Area Network)搭載無線機器が、世界で初めてWi-SUN アライアンスによるWi-SUN FAN 1.1 High Performanceの認証試験に合格し、認証を取得いたしました。

■ポイント
・新たに認証制度がスタートしたWi-SUN FAN 1.1 認証を世界で初めて取得
・長距離伝送から高速伝送(最大 2.4 Mbps)までをサポート
・最大24段の無線機間多段中継(マルチホップ)通信によるIoT用広域通信網の構築

■背景
 センサー、メーター、モニター等に通信機能を搭載し、都市環境における様々な課題を解決するスマートシティやスマートメータリングと呼ばれる大規模(数百台規模)で広域(数km以上)なIoTシステムが現在検討されており、このシステムの実現のためには屋外での高品質でかつ建物等による遮蔽に対する耐障害性に優れた堅牢な無線通信ネットワークが必要となります。Wi-SUN FANは、これらの要求を満たすIoT用国際無線通信規格「Wi-SUN」の規格の一つであり、既に電気・ガス・水道のメータリングのほか、スマートシティ、スマートグリッド、高度道路交通システム等のセンサー、メーター、モニター等を用いた各種インフラ、アプリケーションにおいて、ベンダー間で相互接続可能な無線通信ネットワーク技術として導入が検討されています。しかし、既存規格では無線機間の伝送速度が数100kbpsと動画像等を伝送するためには十分ではなく、さらなる高速化が求められてきておりました。この要求に対応するためにWi-SUNシステムの規格認証を行うWi-SUNアライアンスでは、Wi-SUN FAN 1.1の技術仕様、相互接続性試験仕様の開発を行っておりました。

■今回の成果
 今回、現状のWi-SUN FANより20倍以上高速な伝送が期待されるWi-SUN FAN1.1の技術仕様書および認証プログラムに対応した無線機を開発し、複数社の異なる無線機との相互接続試験において、マルチホップ、周波数ホッピングおよび高度な認証セキュリティを利用したIP通信による認証試験に合格しました。この無線機は、Wi-SUN FAN1.1技術仕様書に記載されている以下の機能を有します。
・IEEE 802.15.4/4g/4eに対応した物理層、MAC層
・6LowPAN、IPv6に代表されるIETF制定のアダプテーション層、ネットワーク層、トランスポート層
・RPLを用いたマルチホップ通信方式
・周波数ホッピング
・認証セキュリティ対応
・マルチベンダ相互接続性
・高速通信対応(OFDM変調方式への対応、最大伝送レート2.4 Mbps)


図1 Wi-SUN FAN 1.1評価ボード(認証を取得した長野日本無線NJT-1104を搭載)

※本研究の一部は、総務省の「電波資源拡大のための研究開発(JPJ000254)」(仮想空間における電波模擬システム技術の高度化に向けた研究開発)(ミリ波帯等における移動通信システムの展開に関する研究開発)によって実施した成果を含みます。

■認証取得概要
   認証取得日:2025年2月20日
   認証機関:Wi-SUNアライアンス
   認証試験機関:一般財団法人テレコムエンジニアリングセンター
   認証名: Wi-SUN FAN 1.1 Conformance: Router (Core + HP)
   認証番号: WSA 0387


図2 取得した認定証


■今後の展開
 今後もWi-SUNアライアンスが主催する相互接続性仕様検証イベントに参加し、Wi-SUN FAN1.1規格の技術適合性・相互接続性認証試験に貢献するとともに、本無線機の社会実装に向けた取り組みを推進してまいります。 また本成果は、3月3日に御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターで開催される「Wi-SUN Open House 2025」および、3月25日より米国・ダラスで開催される米国最大級の電力業界関連のイベント「DistribuTECH 2025」のWi-SUNアライアンスのブースにて展示を行う予定です。



■用語説明
 Wi-SUN FAN(Field Area Network)
 Wi-SUNアライアンスが制定するスマートメータリング、配電自動化を実現するスマートグリッド、およびインフラ管理、高度道路交通システム、スマート照明に代表されるスマートシティを無線で実現するためのセンサー、メーターに搭載するIPv6でマルチホップ可能な通信仕様です。2016年5月16日にバージョン1.0がWi-SUN FANワーキンググループで制定され、現在は高速通信、低消費電力化などに対応したバージョン1.1が規格化されており、順次認証が進められています。物理層にIEEE 802.15.4g、データリンク層に IEEE 802.15.4/4e、アダプテーション層にIETF 6LoWPAN、ネットワーク層にIPv6、ICMPv6、トランスポート層にUDP、そして認証方式としてIEEE 802.1xを採用しています。また製造ベンダー間の相互接続性を担保するための試験仕様なども提供されています。

■京都大学 大学院情報学研究科 原田博司研究室について
 京都大学 大学院情報学研究科 原田博司研究室は、京都大学 大学院情報学研究科 情報学専攻に所属し、ディジタル通信分野に関する研究開発を行っています。特に原田博司教授は、情報通信研究機構に在籍中、Wi-SUNシステムのベースとなる国際標準規格IEEE 802.15.4gの副議長として標準化に貢献し、2012年Wi-SUNアライアンスを共同創業者(Founder member)として設立し、Wi-SUNアライアンス理事会議長(Chair of the Board)として長年活動し、またWi-SUNアライアンスHAN WG議長として、電力会社向け宅内スマートメーターシステム用Wi-SUNシステムの技術仕様策定、普及活動を行ってきました。また、Wi-SUN FANの国際標準化であるIEEE 2857も副議長として貢献しています。原田博司研究室では、Wi-SUNシステム全般の研究開発を行っており、主に通信方式、電波伝搬・伝送、システム最適化、応用システム等の研究開発を行っています。

■株式会社日新システムズについて
 日新電機株式会社(住友電工グループ)の全額出資子会社である日新システムズは、これまで組み込みシステム開発で培った機器制御技術とネットワーク技術を土台に、エネルギーをはじめとするさまざまな分野において、価値あるスマート社会を実現していくことで新しい未来をみなさまと共に創り続ける企業です。
Webサイト https://www.co-nss.co.jp/
Wi-SUN FANソリューションページ https://www.co-nss.co.jp/media/press/wsf/

■長野日本無線株式会社について
 長野日本無線株式会社(長野県長野市、1949年設立)は、日清紡グループの一員として無線通信分野の一翼を担っています。近距離無線ソリューションを通じて、電力・ガス検針監視、農業・環境、安全・防災、セキュリティ、保健・医療・福祉、施設管理等、より便利で快適なスマートコミュニティの実現を目指しています。

※本資料に掲載する機関名、製品名は各社の登録商標または商標です。



■本リリースに関するお問い合わせ
【長野日本無線株式会社】
ICT営業部 情報通信営業グループ
TEL:03-3228-3313
E-Mail:njrc_ict-sales_infocomm_all@group.jrc.co.jp

【京都大学 渉外・産官学連携部 広報課 国際広報室】
〒606-8501 京都市左京区吉田本町36番地
Tel:075-753-5729 Fax:075-753-2094
E-mail: comms@mail2.adm.kyoto-u.ac.jp

【株式会社日新システムズ】
システム・ソリューション事業部 営業部 和泉 吉浩 Tel:075-344-7961
経営企画部(広報担当) 森嶋 小百合 Tel: 075-344-7977
E-mail: release-nss@co-nss.co.jp